バングラデシュの有名な銀行家はユヌス博士だけじゃない?元中央銀行総裁Atiur Rahman教授を紹介

バングラデシュで有名な人といえば多くの人が思い浮かべるのがグラミン銀行を設立したムハマド・ユヌス博士でしょうか。
貧困削減のためにマイクロファイナンスという手法を使って、2006年にはノーベル賞を受賞されました。
しかし、バングラデシュで有名な銀行家はこのユヌス博士だけではないことをご存知でしょうか。本日はもう一人の「貧者の銀行家」を紹介します。
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貧困と戦った元中央銀行総裁
今回、ご紹介するのはバングラデシュの元中央銀行総裁Atiur Rahman教授。2009年から2016年まで中銀総裁を務められ、その前後はダッカ大学の教授等を務めながらエコノミストとして活躍されています。
経済の中でも特に開発経済学の研究に力を入れており、バングラデシュの貧困解決に尽力。
中央銀行総裁の任期中にバングラデシュの発展のために金融へのアクセス、スキル開発、インフラ整備の三本柱を掲げ、女性や小作農家への融資制度、また環境金融(グリーンファイナンス)と呼ばれる分野に注力しました。
さらにモバイルバンキングなどのテクノロジーの導入にも取り組み、人々の金融へのハードルをさげました。
なぜ、教授はここまで貧困削減に力を注いだのでしょうか。
それは彼自身のたどってきた道のりにあると言われています。実はAtiur Rahman教授は貧しい村で生まれ育ち、小学生のときには経済的事情で中退をしなくてはなりませんでした。
しかし、何度か学業を中断しながらも優秀だった彼に手を差し伸べるように地域や学校の配慮で勉学を続けることができました。その結果国内のトップであるダッカ大学に入学し、その後博士号を取るためにイギリスにも留学。
博士課程に在籍した当時、独立してから10年も経っていないバングラデシュではひどい貧困に悩まされており、教授の博士論文も”Peasants and Classes(小作農と階級)”というタイトルで資本主義への疑問、格差の是正への一手を打つように研究に努めます。
自らが貧困に悩まされる中で育ったにもかかわらず、中央銀行総裁にまで上り詰め、今ではバングラデシュのすべてのお札に彼の名前が印字されています。
人々はそんな彼に敬意を表して”the banker of the poor”、「貧者の銀行家」と呼んでいます。
バングラデシュの歴史は貧困との戦いそのもの。多くの人が貧困と戦う姿をもっと伝えられればなと思います。
それでは。
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