バングラデシュの東大「ダッカ大学」の受験制度

バングラデシュは9月から10月が大学受験シーズン。バングラデシュの東大、ダッカ大学の受験も現在進められています。
NPO e-Educationではこの大学受験を支援をしており、本年もすでに5名の生徒から合格の報告を受けました。
では、彼らはどのようなテストを受けているのでしょうか?
本記事ではダッカ大学の受験制度についてご紹介します。
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4つの大きな受験区分
ダッカ大学の受験は4つの区分から成り立ちます。それぞれA, B, C, D Unitと呼ばれ、A Unitがいわゆる理系コース。B Unitが人文系、C Unitがビジネス系、そしてD UnitがTransfer Unit、つまり転向用の受験区分となります。
というのも、バングラデシュでは高校の時点ですでにクラスがScience, Art (Humanities), Commerceと分けられており、受験科目の違いもあるので通常この区分に従って受験をします。
しかし、理系の人が文系学部に行きたかったり、また逆のこともあるわけです。そのような場合にこのD Unitは利用されます。
中学・高校の成績がカギ
では、各Unitの配点はどうなっているのでしょうか?ここではC Unitを例にあげて解説します。
C Unitは合計200点で試験が行われます。そのうち120点はペーパーテストなのですが、残りの80点は実は中学と高校の卒業試験の成績から算出されます。
SSC及びHSCとよばれる中学・高校の卒業試験は5点満点のGPAで評価されます。
SSCのGPAを6倍することで30点満点、さらにHSCのGPAを10倍することで50点満点とし、合わせて80点分の評価項目となるのです。
日本はたとえ中学・高校でいくら遊んでいても受験前に頑張れば一発逆転を狙うことができますが、バングラデシュではそれが難しいのです。
さらにSSCとHSCのGPAの合計が一定のライン(C Unitの場合は7.5)に届かない場合はそもそも受験資格が与えられません。いわゆる足切りという制度ですね。なので、トップ大学に行きたい生徒は中学の時から気は抜けません。
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テストはマークシート
ペーパーテストはというとMCQ(Multiple Choice Question)と呼ばれる選択式問題で、マークシートでの回答となっています。
C Unitでは100問を1時間で解かなくてはならないため1問に与えられる時間は2分未満。いかに早く処理できるかが試されています。
でもここでこんなことを考える人がいるかもしれません。
「マークシートならえんぴつ転がしてトップ大に合格できる可能性がある」
この意見については半分正解で、半分不正解と言えるでしょう。
たしかに、とても強い運が見方に付けばえんぴつ転がして正解を勝ち取れる可能性も否定はできません。
しかし、バングラデシュでは不正解で得点がマイナスされるというルールがあるのです。
具体的にはC Unitでは1問正解すると1.2点。一方1問不正解するたびに0.24点マイナスされるのです。なのでわからない問題をむやみに答えると得点を奪われる可能性があるのです。
したがって、正解がわからないなら答えないほうが有利に働くかもしれないのです。
ただ、個々人の能力によってとる戦略が変わるため、この判断は難しいものとなります。例えば、すでにある程度得点を得られている自身がある生徒はわからない問題を飛ばしたほうが良い一方で、得点を得られている感触がない生徒は選択肢を絞った上で合格を勝ち取るために賭けにでる必要があるかもしれません。
まとめ
受験区分によりますが、総じて30〜80倍という驚異的な競争率をくぐり抜けなければならないダッカ大学の受験。4年で1000万人ずつ人口が増えているこの国では今後も競争を避けることはできません。
一方で、この競争を勝ち抜ける人材はさまざまな分野で活躍できる可能性を秘めていると考えられます。世界から徐々に着目されているバングラデシュの人材の秘密はこのような受験制度に隠されているのかもしれませんね。各国受験制度から国がどのような人材を育てようとしてくるのか見えてくることがあるので興味深いですね。
それでは。
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